やってしまった・・・。
新発売のパーティオを購入し浮かれていたのだ。
私は自宅への帰路、50km制限の道を80キロ近くで飛ばしていた。
道幅も広く、普段からついついスピードを出しすぎてしまう道だが、今日は特に飛ばしてしまっていたようだ。
だが、それに気づいたのは白バイの赤いパトランプの光がバックミラーに見えてからだった。
「そこの車止まりなさい」
拡声器を通した独特の響き。閻魔大王とはこんな声を出すものなのだろうか。
観念した私は大人しく脇に停車した。
「スピード出てたねー、まず免許証、それから一応車の中も見せてもらうね」
初老の警官だった。白髪交じりの強面で、間違っても謝って許してくれるような顔じゃなかった。
車の中を調べる警官は私のパーティオを見て一瞬怪訝な顔をしたが、特に何かを言うでもなかった。
警官は私の車に不審物がないのを確認すると、白バイのスピード計を指差し
「これ見てくれる?何キロでてたかな?」
メーターの針は80キロと85キロの中心から少し80キロよりにあった。
「83キロ・・・です。」
「え?ちゃんと確認してよ、何キロ?」
もう一度メーターを確認するがどうみても83キロだ。顔に似合わず嫌味な警官だ。
「83キロです!」
「ううーん、ちゃんと本人確認しないと調書取れないんだけどなあ、78キロだろ?」
その瞬間私は理解した。
「あ・・・はい!78キロです!」
「28キロオーバーだから、減点3点と罰金だな。」
切符を切る警官。30キロ以上オーバーだったら一発免停は免れない。
「急いで帰りたいかも知れないけど、事故でも起こしたら嫁さんや彼女が悲しむぞ、気をつけなさい。」
「嫁」という単語に意味ありげな響きがあったのは気のせいだろうか。
「あ・・・ありがとうございます!気をつけます!!」
警官の慈悲に感激しつつホッとした私は、ようやく警官の姿を直視することができた、その時。
じゃあな、といって踵を返す警官の胸ポケットに、微笑むポモックがちょこんと顔を出しているのを見
たのだった・・・。
追記:本気で心配してもらって申し訳ない!
この話は事実を全く元にしていないフィクションです。
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無題 - 煮汁(押尾 学)
^^;